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2017年ワールド・ミュージック・ベスト・アルバム〈リイシュー〉【第1位】

第1位 V.A. 『Palmwine Music of Ghana: From Palmwine Music To Guitar Band Highlife(パームワイン・ミュージック・オヴ・ガーナ)』 EL SUR RECORDS(2CDs+Book) ガーナ

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アフリカ最初のポピュラー音楽といわれるパームワイン・ミュージックを知ったのは89年にオルター・ポップから発売されたシエラ・レオーネ出身のS・E・ロジーのアルバムがきっかけでした。

同じ年に中村とうようさんが創刊した季刊『ノイズ』創刊号と第8号にパームワインとハイライフについての記事が掲載されました。

しかし、当時は言及されている音楽がほとんどCD復刻されていなかったため、なんのことやらさっぱりわかりませんでした。

93年になって、ようやくガーナ・パームワイン・ミュージックの元祖とされるジェイコブ・サムこと、本名クアメ・アサレ率いるクマシ・トリオが28年録音の第1集がCD復刻されました。

また、音楽学者ジョン・ストーム・ロバーツのレーベル、オリジナル・ミュージックから、キング・オニイナを含む60年代の初期のギターバンド・ハイライフのコンピ盤『I've Found My Love』が発売されたのも同じ年でした。

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私は2枚ともその頃に(たぶん六本木WAVEで)買っていたはずですが、まったく理解できず長くほったらかしにしていました。

パームワイン・ミュージックとギターバンド・ハイライフがおもしろいと思えるようになったのは、欧米のガーナ人コミュニティ向けにヴィンテージ音源が次々とCD復刻され、それらがインターネットを通じて海外から購入できるようになった00年頃でした。

このときになって初めて『ノイズ』の記事を熟読、感激し、種本となったジョン・コリンズの著書『West African Pop Roots』も手に入れました。

しかし、西アフリカのリベリアとシエラ・レオーネ沿岸部に住むクル人からガーナに伝わったパームワイン・ミュージックがどのような変遷を経てギターバンド・ハイライフになったかについて、流れを追って実際の音で確かめられるものは依然としてありませんでした。

深沢美樹さんの解説・選曲で、原田尊志さんエル・スール・レーベルから発売されたこの2枚組は、そんな十数年来の胸のつかえを晴らしてくれた世界初の画期的な編集盤でした。

パームワイン・ミュージックがガーナ内陸部に伝播する過程で地域や民族ごとの個性をまとい泥臭くなっていく〝土着化〟の状況、戦後、E・K・ニヤメを中心にパームワイン・ミュージックの現代化が進み、60年前後、エレキ化されてギターバンド・ハイライフとして完成されるまでの流れが、貴重な音源と微に入り細に穿った解説、しかも、よい音質で味わえるなんて、30年近くアフリカ音楽を聞いてきてよかったと思いました。

中村とうようさん日暮泰文さん鈴木啓志さんの解説・選曲による不朽の名盤『RCAブルースの古典』のガーナ・ヴァージョンといえる名編集盤です。

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第2弾は、ルンバが花開くまでの、植民地時代を中心としたコンゴのポピュラー音楽の流れを特集していただきたいものです。

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tpokjazz

Author:tpokjazz
月平均走行距離200〜300kmの早朝型フォアフット・ランナー。好きな音楽は、ワールド・ミュージック、ロック、ジャズ、ソウル、ファンク、Jポップなど、ディープでコアな音楽全般。

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