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2017年ワールド・ミュージック・ベスト・アルバム〈新録部門〉【第8位】

第8位 Gisela Joao 『Nua(ヌア)』 ライス ポルトガル

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年に1、2回ぐらい、忘れた頃にMM編集部から「クロス・レビュー」の依頼があります。

前号「アルバム・ピックアップ」で取り上げた新作の中から7作について、4人の評者がコメントし採点するという名物コーナーです。〆切はタイトですが、ふだん聞かないタイプの音楽にふれられる貴重な機会になっています。

本作は17年3月号の「クロス・レビュー」に入っていたアルバムでした。

ジゼーラ・ジョアンは83年生まれ。ジョアナ・アメンドエイラカルミーニョら、ポルトガルのファド新世代の歌手たちとほぼ同い年です。本作は16年11月にオリジナル・リリースされた3作目。

〝ヌード〟を意味する本作の聞きどころは、ファドの女王アマリア・ロドリゲスの数々のレパートリー、中でも最高傑作とされる『コン・ケ・ヴォス』収録の、ちあきなおみもカヴァーした大名曲「難船」、そして、ブラジルの伝説のサンビスタ、カルトーラ作の2大名曲「沈黙のバラ」「人生は風車」とをカヴァーしていることです。

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『コン・ケ・ヴォス』も、「沈黙のバラ」「人生は風車」収録のマルクス・ペレイラ盤も〝モウエエ〟つうぐらい聞いた愛着盤なので、これらの曲を採り上げた時点で本作がいいのは約束されたようなものです。

ハスキーで陰翳を帯びた情感たっぷりなジゼーラの歌声は、なるほどアマリア・フォロワー。ギターラ(ポルトガル・ギター)、ヴィオラ(クラシック・ギター)、ダブル・ベースを伴奏に、ジゼーラはアマリアもカルトーラも見事に歌いこなしていると感心しました。

じつは「難船」「沈黙のバラ」「人生は風車」以上にお気に入りの曲があります。それが9曲目の「ラビリント・オウ・ノーン・フオイ・ナーダ(Labirinto ou nao foi nada)」です。

著名な詩人ダヴィド・モラオン−フェレイラ(David Morao Ferreira)が書いた歌詞の意味はまったくわかりませんが、ジゼーラの歌からも、ギターラ他の演奏からも孤独と悲しみがジワジワとこみ上げてきて、これぞまさしく、ファドの醍醐味〝サウダーデ〟です。


Gisela Joao「Labirinto ou nao foi nada」

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tpokjazz

Author:tpokjazz
月平均走行距離200〜300kmの早朝型フォアフット・ランナー。好きな音楽は、ワールド・ミュージック、ロック、ジャズ、ソウル、ファンク、Jポップなど、ディープでコアな音楽全般。

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