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2017年ワールド・ミュージック・ベスト・アルバム〈新録部門〉【第1位】

はじめに

17年発売のアルバムは個人的には充実していました。そこで、ひさびさにベスト10を〈新録部門〉〈リイシュー部門〉とに分けてみました。

私は大の音楽好きですがコレクターではありません。CDやレコードの月間平均購入金額はせいぜい1万円程度だと思います。

そんな、けっして多くない購入アイテムに、『ミュージック・マガジン』(以下『MM』)などでレビューした新作を加えた中から選んだのがこれです。1位は動かせませんが、あとの順位は思いつき、順不同です。

MM誌恒例の特集「ベスト・アルバム」発売前の独自セレクションであることもつけ加えておきます。

ちなみに、MM誌のワールド・ミュージック部門の10作のうち、3位のブレイ・アンボリー、4位のアデデジ、9位のアンドレー・ヴァズの3作、ラテン部門の5作はすべて未聴でした。

MM6位に選出されたアラブ歌謡の大ヴェテラン、フェイルーズのひさびさの新作「Bebalee」については、私も選ぶべきか最後まで悩みました。しかし、いくら敬愛する歌姫の、もしかしたらラスト・アルバムかもしれないとしても、あくまでも作品本位で選ぶべきと決し選外としました。



第1位 George Dalaras 『Pes To Gia Mena』 ギリシャ

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ギリシャ歌謡の皇帝ヨルゴス・ダラーラス。68歳になっても、衰えを知らぬ歌唱力で精力的に活動しました。16年秋から17年夏にかけては3種の新作を発表しています。

1枚は、ブズーキ奏者ヴァンゲリス・コラカキス(Vangelis Korakakis)との共同名義の『Thalassina Palatia』です。

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ダラーラスは、ヴァンゲリスとヴァシリス(Vassilis)のコラカキス兄弟率いるバンドをバックに、海に関係したヴァンゲリス作品13曲のうち9曲を歌っています(その他はヴァシリス)。

ブズーキ、アコースティック・ギター、アコーディオン、ピアノなどを中心とした、レンベーティカやフォーク・ソングの香りがする、飾り気のないトラッド系ギリシャ歌謡です。

ダラーラスは肩の力を抜いてサラリと歌っています。そんなところにも、名人芸が感じられます。


George Dalaras「Harazi Sti Strata Mou」

もう1枚は、ロック系歌手バビス・ストーカス(Babis Stokas)との共同名義での『Filaki Ipsistis Asfalias』。これについては別項を参照ください。

そして、大本命の本作。

眉間にしわを寄せ深刻そうに悩むモノクロのジャケットを見て、さぞ重苦しい内容と想像していました。じつはバックギャモンをしているのでした。

本作は、オーケストラ・エストゥディアンティナ・ニアス・イオニアスの音楽監督で作編曲家のアンドレアス・カツィジアニス(Andreas Katsigiannis)とのコラボ・アルバムです。

カツィジアニスとは00年以来の親交で、03年、ダラーラスの72年の名作『Mikra Asia(小アジア)』をテーマに開いたコンサート『Tribute to Asia Minor』で伴奏を務めたのもエストゥディアンティナでした。

09年の傑作『Yi' Avto Iparhoune I Fili』ではアルバム・タイトル曲を含む2曲がカツィジアニス作品でした。今回は全11曲中10曲がカツィジアニス作品で、もちろん全曲彼がアレンジしています。

また、バックは、カツィジアニスのピアノほか、エストゥディアンティナのメンバーが多くしめています。

そして、ゲストとして女性歌手二人、男性歌手一人が各1曲、デュエットしています。なかでも注目は、ヴェテラン歌手エレーニ・ヴィターリ(Eleni Vitali)との共演でしょう。

トルコ歌謡を代表する女性アーティスト、セゼン・アクスが書いた曲を、アラブ的なブッといストリングスに乗せて、ヴィターリはドスの利いたヴォーカルでダラーラスと堂々と渡り合っています。2人の大御所の互いに譲らぬ歌の応酬に、思わず背筋がゾクゾしてしまいました。

伸びやかで、力強く、優しく、抱擁力があって、コブシ回しが絶妙なダラーラスの歌にただただ圧倒されるほかない傑作です。


George Dalaras & Eleni Vitali「Pes To Yia ‘Mena」

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tpokjazz

Author:tpokjazz
月平均走行距離200〜300kmの早朝型フォアフット・ランナー。好きな音楽は、ワールド・ミュージック、ロック、ジャズ、ソウル、ファンク、Jポップなど、ディープでコアな音楽全般。

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