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2019年 ベスト・アルバム [旧録] 7位

第7位
V.A. 『ダンソーンからチャチャチャへ〜キューバン・ダンス・ミュージックの基軸』
ディスコロヒア

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ダンソーンは、ソンと並んでキューバ音楽の根幹をなすダンス音楽です。
ソンを掘り下げた編集盤はたくさんあるのに、ダンソーンをキューバ音楽史の文脈で採り上げた編集盤がほとんどないことがずっと不満でした。

田中勝則さん主宰のディスコロヒア発売の本作は、知るかぎり、ダンソーンの本質に真正面から取り組んだ初めての編集盤です。

ダンソーンは、ハイチから伝わったコントラダンサがキューバ化して19世紀後半に誕生したインスト中心のエレガントなダンス音楽。
一般にチャランガと呼ばれる、フルート、ヴァイオリン、ピアノ、リズム・セクションの編成で演奏されます。

本作には、ブラス・バンドのダンソーンからチャランガ・スタイルが主流になっていく20年代までの初期録音に始まり、アントニオ・マリア・メロウパウリーナ・アルバレスチェオ・ブレーン・プイベリサリオ・ロペスなど、30年代〜40年代、絶頂期を迎えたダンソーンやダンソネッテ(歌入りダンソーン)の楽団の代表曲を収録しています。

さらにマンボの創始者の一つとされる、カチャーオことイスラエル・ロペス(ベース)、その兄オレステス・ロペス(チェロ)、エンリーケ・ホリーン(ヴァイオリン)、ヘスース・ロペス(ピアノ)といったきら星のような名手たちを要したアントニオ・アルカーニョ(フルート)の楽団の楽曲も収録。

そして、50年代、ダンソーンがオルケスタ・アメリカオルケスタ・アラゴーンエンリーケ・ホリーン楽団などによってチャチャチャになり、60年頃、NYに飛び火してパチャンガに変わるプロセスも興味深いところです。

収録曲の大半は、初期録音を除けば、スペインのトゥンバオ・レーベルなどでほぼ復刻済みですが、田中さんの解説によってそれぞれの曲の成り立ちや奥の深さはわかってためになりました。

地味ですが本当によく構成された名編集盤です。


Orquesta Antonio Maria Romeu 「El Mago De Las Teclas」

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プロフィール

tpokjazz

Author:tpokjazz
50歳から走り始め、月平均走行距離200〜300kmの早朝型フォアフット・ランナー。フル・ベスト3時間33分09秒。最近はウルトラ・マラソンにはまっています。介護施設の管理者のかたわら、音楽ライターとして『ミュージック・マガジン』と『レコード・コレクターズ』でワールド・ミュージックを中心に執筆。郷土史家みたいなこともやっています。