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記事一覧

『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン秋』 参戦記

雪舟も兜を脱いだ富士の山容 毎年4月に開催される歴史ある大会『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』が今年初めて秋にも開催。個人としては春も含めて初エントリー。  〝富士山〟をよく知らずには富士山に失礼と思い、10年前に買って未読だった上垣外憲一『富士山』(中公新書)をレース前々日に読了。 富士山のような三角錐のシンプルな山容は中国には存在しないため、水墨の山水画の規範にそぐわず、画聖・雪舟でさえ大和...

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四万十川100kmウルトラマラソン体験記【第8章】

第8章 ゴール "YES"、自己と宇宙との同一 時刻は夕方の5時近くになっていた。木々に囲まれた川沿いの狭い道は一段と薄暗くなり、係員の人たちが道路脇のところどころに臨時の夜間照明を灯す準備にかかっていた。照明が点灯される前にはこの山道を抜けたいと願いながら黙々と走っていたら、人家があらわれ視界が急に開けた。 坂を下りたところでUターンして街中に入るための最後の上り坂に入った。ところがこれが手ごわかっ...

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四万十川100kmウルトラマラソン体験記【第7章】

第7章 80kmあたり LOVE、"I'm not alone anymore."「こうして我慢に我慢を重ねてなんとか走り続けているうちに、75キロのあたりで何かがすうっと抜けた。そういう感覚であった。『抜ける』という以外にうまい表現が思いつけない。」 これは先にふれた村上春樹のエッセイからの抜き書きである。80kmあたりで私も同じ感覚を味わった。 それは突然やって来たのではなく、気づいたらずいぶん楽になっていた。GPSウォッチをみると...

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四万十川100kmウルトラマラソン体験記【第6章】

第6章 70kmあたり 壊れていく自分をおもしろがる自分 なぜか急にビートルズが聞きたくなった。より正確には、65年発売の『ラバー・ソウル』に入っていたジョン・レノンの作品「Nowhere Man」が聞きたくなった。「Nowhere Man」は「ひとりぼっちのあいつ」の日本語タイトルで、"やくたいもない男"とか、"どこにも行き場のない男"とか、いろいろな訳があるがどれもピンとこない。「Nowhere Man」は「Nowhere Man」としかいいよう...

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四万十川100kmウルトラマラソン体験記【第5章】

第5章 60kmあたり 体中を激痛が襲う 村上春樹のエッセイ集『走ることについて語るときに僕の語ること』(文春文庫)にはサロマ湖100kmウルトラマラソンを走った体験記が載っている。そのなかで村上は「55キロ休憩地点から75キロまでは(…)緩めの肉挽き機をくぐり抜けている牛肉のような気分だった」と語っている。私もカヌー館からの20kmは同様の気分を味わった。 雨脚はどんどん強くなり本降りになった。太もも内側と臀部の...

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プロフィール

tpokjazz

Author:tpokjazz
50歳から走り始め、月平均走行距離200〜300kmの早朝型フォアフット・ランナー。フル・ベスト3時間33分09秒。最近はウルトラ・マラソンにはまっています。介護施設の管理者のかたわら、音楽ライターとして『ミュージック・マガジン』と『レコード・コレクターズ』でワールド・ミュージックを中心に執筆。郷土史家みたいなこともやっています。